数字や哲学の話は一切ありません


 「味はいいはずなんだけどな・・・何かリピーターを増やす策はないもんかな・・・」   

 

そう言って頭を抱えるイタリアンレストランの店主のもとに2人のスタッフが訪れました。そして、それぞれ異なる2つのアプローチでリピーターを増やすための策を提案してきました。  

 

Aさんの提案:「ポイントカードを作って、10ポイントたまったら10%OFFのクーポン券をあげましょう!」

 

Bさんの提案:「3回来店された方用に、裏パスタメニューを用意しましょう!」

 

Aさんの提案がいいと思われた方、自分の仕事はレストランとは関係ないから興味がないという方、そんな小細工で集客をしようと考えること自体がおかしい。味とサービスとビジョンで勝負するべき!という考えをおもちの方、もう少しだけ読み進めていただいて、それでもまだ考えが変わらないようであれば、一秒でも早く仕事に戻られたほうがいいかもしれません。

 

Bさんの提案に戻ります。

 

「いい案だな~」

 

で終わってはいけません。

 

3回来店した人にしか用意されない裏パスタメニュー。これがどういうことになるかと言うと、ブログやフェイスブックやインスタグラムなど、ソーシャルメディアの絶好のネタになるということです。

 

「おーっ!なるほどっ!」

 

と、合点をする前にもう少し。

 

その裏パスタごとに特別なデザートを用意するのはどうでしょうか。

 

デザートを単品で選ばせるのではなく、それぞれの裏パスタにそれぞれのデザートを用意するのです。

 

「えっ?デザートくらい選ばせてあげたほうがいいんじゃないの?」

 

そう思われるかもしれません。

 

確かにそのほうが親切かもしれません。

 

ただ、人は「こだわり」に対してすこぶる従順であるということを忘れてはいけません。

 

従順はつまりリスペクトであり、リスペクトをするということはとても心地のいいことでもあります。

 

このパスタにこのデザート・・・と、カスタマイズの機会を排除されると、そのカスタマイズを排除した提供者の意図通りに味覚を合わせようとするのです。 

 

カスタマイズの排除は、時にこだわりを演出し、消費者を従順にすることがあるのです。    

 

「私はこれを食べました!」

 

「私はこれ!」

 

と、ブログやインスタなどを通して話題を提供できるかもしれません。

 

中には全種類を制覇したいという人も出てくるでしょう。 

     

それぞれの裏メニューを期間限定にしていけば、機会を逃すまいと来店頻度が高まるかもしれません。

 

また、裏メニューをダウンロード形式にして、そのリンクをお店の様子を映したYoutubeを見終わった後に表示させるというのもいいかもしれません。

 

厨房で美味しそうな料理を作っている様子とか、シェフの人柄がわかるようなものとか・・・

 

どうですか?

 

これでもまだAさんの提案のほうがいいですか?

 

「みんながみんな、そんな裏メニューのために来店するとは思えない」

 

という意見をおもちの方。

 

その通りです。

 

みんなに受け入れられることは不可能です。

 

でも、みんなに受け入れられることなどあるのでしょうか?  

 

100%を狙う必要はあるのでしょうか?

 

「インスタとかYoutubeとか、うちの常連さんは年配の方ばかりなんだから、そんなものやるわけないでしょ」

 

という意見をおもちの方。

 

たしかに年配の方はソーシャルメディアを利用する可能性は低いでしょう。

 

では、そんな発信力がない層だけをターゲットにしていていいのでしょうか?

 

もちろん、年配の方の消費力は高いですからターゲットとしては間違えていないかもしれませんが、それならそれで年配の方の心理や行動を徹底的に分析したマーケティングを行っているでしょうか?

 

初歩的なことですが「半額!」ではなく「50% OFF!」などという的外れなPOPを掲げていたりしていないでしょうか?

 

「そんな小細工で集客をしようと考えること自体がおかしい。味とサービスとビジョンで勝負をするべき!」という意見をおもちの方。

 

絶対条件と十分条件の違いを理解されていないかもしれません。  

 

冒頭での質問に対して「私の仕事はレストランとは関係ないから興味がない」と答えられた方。 

 

対面販売でお菓子を売る、オンラインでノウハウを売る、営業やセミナーでサービスを売る、業種・業態・扱う商品やサービスの違いはあれど、やること・考えることはすべて同じです。 

 

その他、お客様の質は、ポジショニングは、ブランディングは、魅せ方は、誘導は、次の対策は・・・。

 

ウリカタをしっかり理解し、消費者の心理を先回りしながら、トライ&エラーを重ねていく必要があります。

 

今回、集客というものに対する典型的なイメージをレストランの裏メニューというベタで分かり易い例を用いて表現してみましたが、実は「売上を増やすための順番」というものを意識した場合、このような策を講じたり宣伝広告を出すという行為は最後の最後に検討されるべきことになります。

  

尚、ソーシャルメディアや裏メニューといった馴染みのある具体例を加えましたが、あくまでもイメージをおもちいただくために適当に記述しているだけに過ぎませんので、実際にそうすることが効果的か否かという点についてはまったく考慮していません。 


凄いウリカタは共通です


ちなみに、お金を使うことを考えた時点で思考はストップしてしまいますのでご注意ください。広告代理店さんには申し訳ないのですが、広告を出そうと考えた瞬間に思考はストップします。

 

広告を否定しているわけではありません。広告は有効に使えば強力なツールとなります。

 

お伝えしたいのは、広告を出す前に、もっとできること、やるべきことがあるということです。

 

上記のレストランの例もそうですが、お金をかけずにできること、やるべきことがたくさんあるということです。

 

さらに言えば、お金をかけずにできることをしっかりできるようになれば、広告を出す時も圧倒的な効果が得られる広告を出すことができるようになるということです。     

 

コンサルティングおよびセミナーでは「お金をかけずにできること、やるべきことを徹底的にやることの重要性」について学んでいただきます。